浄化槽・産業排水処理プラントについて概略
排水処理施設は大きく「浄化槽」と「産業排水処理プラント」の二つに分類できますが、これらは用途や設計目的が異なります。浄化槽は主に生活排水を対象とするのに対し、産業排水処理プラント(食品工場はここに含まれます)は工業施設からの排水を処理するための設備です。概略として以下の通り纏めましたのでご参考としてください。
1. 浄化槽の立て付けと法律
浄化槽の設置
- 用途: 浄化槽は、家庭や事業所からの生活排水(し尿や雑排水)を処理するために設置されます。特に下水道が未整備の地域で広く使われています。
- 設置条件: 浄化槽を設置する場合、地方自治体の条例や建築基準法に従って、適切な場所と規模で設置する必要があります。浄化槽の大きさは、利用者数に応じて決定されます。※浄化槽へ産業排水(食品工場排水など)を流入させることは違法です)←ここ要注意です
関連法律
- 浄化槽法: 浄化槽の設置・維持管理に関する基本的な法律です。浄化槽の設置者は、定期的な点検や清掃を行う義務があり、これを怠ると罰則が適用される場合があります。
- 水質汚濁防止法: 浄化槽からの排水が河川などの公共水域へ放流されることから水質汚濁を引き起こさないよう適切な処理が求められます。
- 下水道法: :下水道法は、下水道の整備およびその適切な運営・管理を規定し、公共用水域の水質保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。下水道が整備された地域では、原則として浄化槽の使用を廃止し、排水を下水道に接続する義務があります。この義務に従わない場合、自治体から指導や罰則が科されることがあります。
2. 産業排水プラントの立て付けと法律(食品工場の排水はこれに当てはまります)
産業排水プラント(産業排水処理施設)の設置
- 用途: 産業排水プラントは、工場や事業所から出る産業排水を処理するために設置されます。処理の規模や方法は、排水の種類や量に応じて異なります。
- 設置プロセス: 産業排水プラントを設置する場合、まず排水の種類と量を特定し、適切な処理技術を選定します。その後、設計・施工を行い、地元の環境当局から許可を取得する必要があります。なお処理水を下水道へ排出する場合、当該下水道の排除基準値に適合させるための施設として「除害施設」と呼びます。
関連法律
- 下水道法: :下水道法は、下水道の整備およびその適切な運営・管理を規定し、公共用水域の水質保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。
- 水質汚濁防止法: 産業排水の処理に関する主要な法律です。排水の水質基準を守るための処理を義務付けています。排出基準を超える場合、改善命令や罰則が適用されます。
- 環境影響評価法: 大規模な産業排水プラントの設置には、事前に環境影響評価(EIA)を行い、環境への影響を評価し、適切な対策を講じる必要があります。(いわゆる環境アセスメント)
- 産業廃棄物処理法: 産業排水に伴う汚泥や廃棄物の処理に関する規定が含まれます。
3. その他の重要ポイント
- 地方自治体の規制: 地域ごとに独自の規制やガイドラインが設けられている場合があるため、具体的な設置場所に応じた法的要件を確認することが重要です。
- 維持管理: 浄化槽も産業排水プラントも、設置後の維持管理が非常に重要です。定期的なメンテナンスや監視を怠ると、法的な問題が発生する可能性があります。