消滅型生ごみ処理機・機種選定のポイント
ネット検索するとあまりにも多くの会社がヒットします。メーカー・販社が入り交りきちんとした情報を入手するのに一苦労かと思います。上述の通り、あくまで私見ですが選定に当たってのポイントを列記してみました。詳細は、各社のWeb等にてご確認ください。他社様から内容に関し、お叱りを受けないよう配慮したつもりです。ご納得いただけない内容・疑似・修正箇所がある場合は、当サイトのお問合せまでご連絡お願いします。
ポイント1.菌床
菌床とは微生物を固着させる担体のことです。以前はもみ殻や木のチップがつかわれていましたが、昨今は多孔質のプラスチック製またはセラミック製のものが多く使われています。もみ殻は減った分だけを上から足すだけで、維持が簡単ですが嫌気性(酸素のない状態での発酵)菌が活躍するため、臭気が発生しやすいようです。菌床は各社が様々なものを採用しています。もみ殻以外の菌床は定期的に全量を入れ替える必要があります。大型の場合は、それなりの作業時間がかかることが懸念されます。プラスチック・セラミック製共に、毎月交換を行うものから数年単位での交換のみで良いものがあります。最近は、生分解性プラスチックを使った菌床の開発もなされています。高価な材料ですが、もみ殻同様に全量を取り換える手間がなく、減った分だけを足すだけになりますので今後に注目です。
ポイント2.保守体制
保守はシステムによりその難易度は異なりますが、保守点検は機械を長年使用していく上で、非常に重要な点と認識しています。上記で述べましたとおり、過去に多くのメーカーが参入し販売された後、大多数のメーカーが撤退したのは保守対応不足が原因であったことは、否めないかと思っています。今でもオークションサイトで極めて安価に、生ごみ処理機が掲載されているのを見かけます。誰でも簡単に使える装置でないことを理解された方が良いかと思います。現在残っていますメーカーはその点を知ったうえで販売されているかと思いますので、定期点検作業の内容・頻度等の詳細を細かく確認されることをお勧めします。実際に多くの生ごみを処理されている納入先の見学を行い確認することが一番分かりやすい判断基準になります。
ポイント3.排水濃度
繰り返しますが、生ごみ処理機から排出される排水は決してきれいなものではありません。食材を砕いて流すディスポーザーの使用がほとんどの地区で規制され、処理水の浄化処理が必要なのと同様に、生ごみ処理機も固形物がほとんどないにしろ排水は汚水として認識することが重要です。同じ設備で使用している水との希釈や浄化槽での処理で問題なく排水できるか、導入前に必ず確認してください。場合により、実際の生ごみの処理で出される排水の濃度分析と発生量をメーカーと確認することも検討してください。各自治体に事前の確認を取ることも一案です。排水の濃度は当然システムが使用する水量に反比例します。
ポイント4.微生物と制御
各社とも使用する微生物には特徴があるようです。一般に土中にいる自然界の微生物を使用しているため、環境面での問題はありません。バチルス菌と言われる枯草菌(納豆菌もその一つ)が多く使用されています。価格とあわせ寿命も各社まちまちで、1ヶ月から1年を超えるものまであります。菌床とことなり補充は簡単です。当然、微生物の種類により分解性能も異なりますが、それについて発表された文献は筆者が知る限り見当たりません。
微生物は生ごみの投入により活発になり増殖を繰り返します。その際に熱を発生します。その温度を処理機内で保ち活発に反応させることにより、臭気が気にならない好気性反応(酸素を必要とする菌の活性。反対語は嫌気反応)が得られます。処理機内の温度およびヒーター制御について確認されることお奨めします。
ポイント5.配管の汚れ
配管の汚れはもちろん分解する生ごみの種類に大きく左右されます。脂が多く水温が低いと配管内に油脂が付着します。汚れが激しい場合は、配管をホースで洗浄する頻度が多くなります。生ごみ処理機は分解し微細になった汚れた水を装置底部のメッシュ状のフィルターで濾してから排水されます。このフィルターの穴径が大きければ排水として処理する(流し出る)速度は速くなりますが、その分だけ排水の汚れや、排水処理槽前のスクリーンの清掃頻度が多くなることは避けられません。メーカーによっては、オプションで2重のフィルター構造を取り付けることもあるようです。
ポイント6.生ごみの種類
全てのメーカーがどの食材に対し分解する速度がどれくらいで、実使用に適しているかどうかを理解しているか疑問に感じることがあります。それほど、食品の種類はまちまちです。繊維の激しいキャベツの芯、玉ねぎの外の赤皮やパイナップルの皮等、簡単に分解しない、もしくは分解しないものはたくさんあります。人間が食べられる食品でも抗菌作用があるものや、強酸性の物も微生物での分解に向いていません。生肉のようにスジが残りやすく腐りやすいものも適していません。スーパー・ホテルのように種々の材料が混ざって捨てられる場合は安易に考えてよいですが、偏った食材の場合は特に注意が必要です。
ご飯を多く投入する場合は、システム(主に菌床、および設定)により対応できるものとできないものがあります。底のフィルターが目詰まりし排水できないトラブルをよく見かけますので注意が必要です。
ポイント7.耐久性・構造
15年~20年前に導入された生ごみ処理機で今も使用されているシステムは多くあります。きちんと使えばそれだけ長持ちするもので、投資効果に優れた機械と言えます。長年使うだけに、筐体は錆ないステンレス製が多く販売されています。もちろんステンレス以外でも防錆処理されていますので、実用には問題ないかと思います。むしろ、処理槽内部の生ごみをかき混ぜる撹拌棒の設計、またそれを回転させるモーター及びチェーンの設計に着目してみてください。メーカーそれぞれのコンセプトが分かります。
以上、7つのポイントを列記してみました。上げればきりがありませんが、これらがおおよそシステムを正しく選定する上でのポイントになるかと思います。他にも、設置場所が限られてしまう場合はシステムの大きさ、本体重量と基礎工事の有無等も重要となります。最近は食品生ごみを減らすことが企業としての重要課題になってきています。そのため、処理している生ごみの重量を自動測定し統計データを出してくれるシステムもいくつか出てきています。遠隔で稼働状況を監視する等、今後の進化を見守りたいです。
